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No.9 合理と不合理
2006.4.24
経済理論は人間の行動は合理的であるとの前提で成り立っています。合理、不合理の判断 は経済的価値を尺度にしているのでしょう。人間の欲は大きさ、種類も千差万別で経済的側面だけで測れるものではありません。万人の大まかな尺度として経済力の向上が理に合っていると考えられているだけではないでしょうか。
「理」に合う、合わないと言ったときの「理」とは何でしょうか。理性、道理、ものの本筋と考えるなら、人の頭の中で考えうる論理の集大成が「理」ということであり、それに基づいた人の行動が合理的行動、合目的的行動と言えるかもしれません。
消費者の購買行動の分析においては、消費者は合理的行動だけするのではないことは自明です。値段が安いとか、高いとかは大事なことですが自分の欲求、嗜好、精神的な満足感を得るためには時として不合理な行動にでるものです。こうなってくると合理、不合理の判断は心理学の領域に入ってきます。今、統計心理学とか、産業心理学系の本が売れています。訳の分からない購買行動を人はしないので、周囲からみれば不合理と思える行動も本人は合理的な、自分の欲求を満たした行動をしていると思います。
不合理な人の行動基準を体系化することは大変難しいと思います。しかしながら、今の価値基準では不合理と思える行動をする人も群をなしている訳です。杓子定規に合理性だけを追求するのではなく、人の精神の不合理性を追及することが企業経営においても個人の生き方においても新しい発想をもたらすものかもしれません。