No.33

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No.33 木が育つ程人は育たず

2007.11.15

 およそ15年前、本社の事務所を建てた時、空きスペースに木を植えました。当時エクステリアの仕事をしていた関係で不要になった木を植えた記憶があります。

 普段事務所の外に出ることが少なく気が付きませんでしたが何気なく植えた木の成長に目を見張りました。フェンス際のカイヅカイブキ、赤い実を付けたクロガネモチ、早、蕾の膨らみの感じるモクレン、ヤツデ、ミニバラの木など15年前は苗木に近いものが今では平屋の建物より高く伸びています。確実に時間は経過しています。

 ふと見るとモクレンの木の枝に鳥の巣がありました。小枝を組み合わせ、羽毛を敷いた小さな巣です。何鳥の巣かも判りません。産卵し、ひな鳥がいたのか巣立ったのかもわかりません。ただ私にとってこの巣が楽しみの一つになっていきそうです。

 確実に成長する植物、それに反して成長しているのか退化しているのか判らない人とその社会。時間の経過により人は確実に変化しているが、それは老化に過ぎない。精神的には成長しているのでしょうか。榊原英資氏のいう退化する日本社会が多く見られます。

 一国の総理総裁、政党党首に幼稚な質問を声高に浴びせる若い新聞記者、自分の怒り、欲求を国民全般の怒り、欲求と勘違いするレポーター、謝り続ける企業人、謝らせ続けるメディア等、皆錯覚しているのではないでしょうか。人を責め立てる程自らは身奇麗なのか、白と黒だけでグレーゾーンを認めない割り切りの議論の横行、色んな人が色んな考えで生活している限り殆んどの部分がグレーな積み重ねから成っているのかもしれません。

 解決策、結論はいらない。事実だけ提供して欲しい。メディアに露出する専門家の評論と決め付けは要らない。自分たちで考えたい。今の状況の延長線上には何があるの。大衆迎合的な、個性の無い表向き賑やかな人たちと、それからなる集団が目立つ社会となるのでしょうか。

 誰かが言ってました。今や実際の年齢の7掛けぐらいが人の精神年齢ではと。人生50年の時代、20代の若さで時代を創った人達からみれば現代人の思考密度は希薄と言わざるを得ません。