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No.18 時運(所謂 時の運について)

2006.7.21

 会社経営を行っていて感じることですが、間違いなく時運と言えるものがあると思っています。

 いくら研究を重ね、市場調査を行い、リスク管理を持ってしても時運に乗らない、時運を掴めない事業は難しいと思います。

 時運は社会の空気と呼べるかもしれません。ある特定の人たちが作り上げることもできなければ、人間が意図的に創造できるものではないでしょう。時代が醸成するものかもしれません。

 幕末物を読んでいて思うのですが、永々と260年間続いてきた江戸幕府が、薩長土州及び坂本龍馬を筆頭に下級の脱藩浪士が世の中を変えたのは時運としか呼べないものがあったのではないでしょうか。

 幕末の権力構造及び外交については、勤皇派、佐幕派、攘夷派、開国派の4つの組み合わせしかなかったと思いますが、300諸侯を要する幕府体制が数藩数名の人物により終焉を迎えたのは全くの驚きであります。

 幕末の硬直的な思想の中で、「大政奉還」という無血革命の思想を用い、維新を達成した坂本龍馬及び背景にいた勝海舟、大久保一翁の思考はいかに凄いものか。幕府崩壊、天皇制維持による明治新政府を時運を意識して、「大政奉還」という奇策をもって成し遂げた龍馬には今もって驚きの念、禁じ得ません。

 徳川家、天皇家、諸藩、一般民衆、大部分が傷つくことなく「顔を立て」ながら歴史的偉業を成し遂げたのは脅威でもあります。

 龍馬の発想の基は、当時藩が国であり、身分、藩内規範が絶対であった時代、龍馬は既に藩を超越し日本、及び日本人としての意識を持っていたことに拠ると思います。

 その程度において、比べるべくもありませんが、現代も変革、変化の時代であることは間違いありません。

 時運を感じるには、常識的な発想の延長では駄目でしょう。勤皇、佐幕の対立の時代に「大政奉還」という、誰もが不可能と考えていた発想が出来、実行する人が時運を掴み、ダイナミズムな生き方をする事は間違いない事です。