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No.5 調剤薬局って必要なんでしょうか?

2006.3.23

 会社で4店舗調剤薬局を経営していて言うのも変ですが調剤薬局って必要なのかとよく考えます。必要だから世の中に存在していると思いますが、問題はその必要の度合いではないでしょうか。調剤薬局がなくなれば過去やって来た様に診療所等が薬を出せば良い訳ですし、現在でも医師の処方により調剤薬局が薬を調剤し患者さんに投薬すると考えれば、調剤薬局がなければどうにもならないというものでもないでしょう。

 それでは国の政策として医薬分業を進めてきた真意はどのあたりにあるのでしょうか。薬の専門家による有効、適宜な情報提供といった大義があるにしても、医師が薬を外にだすことに同意したインセンティブの最大の要因は薬価差益の縮小でしょう。過去のような薬価差益が得られるなら到底手放さなかったと思います。現在60%弱の医薬分業率だと思いますが、ただこれまでのように医薬分業が声高に言われなくなったのは一つの政策の普及率としてはこの程度で充分と考えているのかもしれません。

 医師の処方と薬剤師の薬に対する考え方には少し温度差が感じられます。しかしながら処方権が医師の専権である以上医師と薬剤師の間には微妙な上下関係が生じていると思います。また、医師がスーパーマンであるとの前提で薬から精神療法他何から何まで熟知しているとの前提で現在の医療関係法規が成り立っている限り今後とも医療現場では軋轢が生じるかも知れません。

 このたびの医療費の改正にあたって、ジェネリック医薬品の誘導策として代替調剤の道が開かれました。これまで医師の処方が絶対無二であったことを考えれば患者さんと薬剤師に薬の選択が認められたことは大変重要な変化ではないでしょうか。

 これを機会に調剤薬局を取り巻く環境は大きく変わると思います。薬剤師さんの存在感は従来より飛躍的に増してくるのは間違いないでしょう。将来を見誤らず薬剤師さんは多角的、多面的に物事を判断する必要があるでしょう。その結果として社会的に意味のある薬局像がイメージされるでしょう。