No.43

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No.43 「創造と変革の志士たちへ」

2009.3.25

「創造と変革の志士たちへ」PHP研究所刊
グロービス経営大学院学長 堀義人氏へのファンレター


 3月の平日。新大阪駅のBooks Kioskに平積みされている本の中で侍ブルーの表紙に目が留まりました。「創造と変革の志士たちへ」勇ましいタイトルが目に飛び込み維新モノかと手に取りました。ところが著者は以前から気になっていた堀義人氏でした。グロービスのHPで著者のブログをよく読んでいまして、その考え方に興味を持っていたので帰りの新幹線の中で一気に読んでしまいました。

 著者略歴によると、京大工学部卒、HBSにてMBA取得、住友商事を経てグロービスを起業したMBAホルダーのベンチャー起業家の草分け的存在でもあります。ホリエモン、村上ファンドとは色合いの違う地道なイメージを当時から持っていました。グロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナーとして氏の言う「集団出世主義」に基づく投資を実践されており、これも興味のある所です。

 企業を立ち上げ歴史を重ねる中で、企業のあらゆるシーンを「創造と変革」という表現でシンプルに纏め上げているのには大きくうなづきました。創造=0から生み出す、変革=下降局面からの脱却。実業の世界をこのように解釈できることはその場面に出くわした時に充分に対応できる意識があるということでしょう。参考になります。このような問題意識を実践するための具体的処方として、①能力開発②人的ネットワーク③志を挙げておられます。興味のある方は一度読んでみて下さい。

 著者の目標はグロービス大学院をアジアナンバーワンのビジネススクールにすることと述べています。現役の若い経営者であるとともに教育者、社会思想家の感じが濃い方です。幕末の水戸藩藤田東湖、長州藩吉田松陰の色合いを感じます。自分ひとりで進める事業よりあまねく志のある起業家を育てたいと言う著者の考えには大いに同調できるものがあります。